2014年12月31日水曜日
2014 to 2015
2014年12月28日日曜日
よこすか芸術劇場 / The Gospellers
5会席まである大きなホール、上から降ってくるお客さんの声が心地よかったです!
これにて年内のライブサポートは仕事納め。
ゴスペラーズも歌い納めとなりました。
来年も引き続き盛り上がっていきますよ!
2014年12月27日土曜日
マニピュレーターお仕事のエトセトラ
定期的に出る話題でもありますので、この辺でおさらいといきましょう。
※過去のエントリーと重複する内容も含まれる上、非常に長いです。
まずは成り立ちから。
■音色作り
制作のスタジオワークにおいて、アレンジャーが望む音色を作る。
そもそものスタートはシンセサイザーが発明され普及し始めたころ、その楽器の操作の専門家として様々な音を作るところから始まっています。
例えばフワっとしたイメージのシンセ、重厚なシンセストリングス、はたまた耳を劈く雷鳴の効果音など、その内容は多岐に及びます。
そういえば初仕事のとき、カウベルのサンプルから「ぽちゃっ」という雨音のSEを作ったことがあったなぁ…。
■打ち込み
アレンジャーから渡された楽譜を元にシーケンサーに演奏情報を入力する。
今ではパソコンのソフトにシフトしていったシーケンサー(自動演奏を制御する機械)ですが、最初は専門機器のハードウェアでした。
音の「音程・長さ・強さ」をまるでレジ打ちのように入力していくことから「打ち込み」という言葉が生まれたという説もあります。
機械的に打ち込む他にもリアルタイムに鍵盤で弾いた「演奏情報」を記録させるというやり方もありますね(僕は基本的にはこちらのパターン)。
譜面がなくて「こんな感じのフレーズやって」みたいなオーダーだと、アレンジや演奏能力なども試されます。
上記二点は今やアレンジワークの一環になっているので、アレンジャーが一人で行うことも少なくありません…というか、専任のマニピュレーターを入れる現場は今では少ないのではないかと思います。
僕の場合、ゴスペラーズのメンバーの曲作り…制作サポートとして入るときは必要機材を持ち込み、メンバーの頭の中にあるものを具体化するために音色を用意してトラックを作っていったりしています。
こんな音色のこんなドラムパターンで、こういうコード進行でこんなピアノで…など、ディスカッションしながらベーシックアレンジを作り、そこに歌を録ってラフミックスをするというエンジニア要素も含む何でも屋さんでもあります。
メンバーはあくまでも「曲を作る」ことに集中し、演奏や録音などの実作業部分を僕が担う形ですね。
自分でも曲を書くのでよくわかるのですが、メロディーやコーラスなどを考える段階で音色を探したり自分には難しいフレーズやトラックを作っていくというのはパワー配分がどうしても分散してしまいがちで、そこを分業化できるというのは効率的なのです。
ちなみに「マニピュレーター」という役職名は和製英語で、人の呼び名としては「人の心を操る=マインドコントロールする人」のような余りよろしくない意味を含むようです。
その昔はシンセサイザープログラマー・オペレーターが仕事内容に則した呼び名だったようですが、特にライブ現場において今ではコンピュータープログラマーやProToolsオペレーターと言うようです。
(たとえProToolsソフトを使っていなくても仕事内容を表す呼称なので僕もこちらをよく使います)
さて、ここまでは制作現場でのマニピュレーターのお仕事のざっくりとした解説でしたが、ではライブでは何やってんの?というお話へ。
■シーケンサーオペレーター
生演奏以外の楽器パートを一手に引き受けます。
ステージ上のバンドはドラム・ベース・ギター・キーボードの4人なのにCDに入っていたオーケストラの音が鳴ってる!とか、他にもパーカッション・SEやいろんな楽器の音が聞こえる!なんて場合はマニピュレーターと思って頂ければまず間違いありません。
今では機材の性能も上がったことにより、レコーディング時のトラック(オーディオデータ)をそのまま扱えるようになりました。
ひと昔前、僕が始めた頃はそこまで自由が利かなかったので、先に書きましたシーケンサーの演奏情報をもらったり自分で耳コピして必要なトラックを作って、ステージの一角にセッティングされた沢山のシンセを鳴らしていました。
つまり音色やプレイ内容をCDの"正解の音"を聞きながら自前のシンセやサンプラーなどでそっくりに作ったりアレンジしたりする必要があったため、よりマニピュレーターの腕が試され、同時にマニピュレーターの質が明確化していた時代であったのではないかと思います。
そういった意味もあって制作現場でのマニピュレーターのお仕事はそのままライブサポートにも活きるのですが、レコーディング素材を使ったデータ作りがほとんどとなった今ではもしかしたら「編集・再生しかできません」という人もいるのかもしれませんね。
CD=作品本物の音が使えるなら今のほうが簡単で良いのでは、という意見は確かにそうなのですが、ライブならではのアレンジをする場合やキーを変えての演奏などという場合には構造的な限界があるため、必要に応じてどちらにも対応できる技術を持つマニピュレーターは重宝されます。
僕が「マニピュレーターはミュージシャンである」あるいは「ミュージシャンであるべきである」と思っている理由もここにあります。
実際にその瞬間に演奏するわけではありませんが、根底である音楽的な考え方や技術がなければ生演奏と融合してお客さんの耳に「良い音楽だ!」と感じさせることはできないはずなのです。
僕もそうですが、作曲・編曲のお仕事をしている人が兼任している率が高いのもそんな背景があるのではないでしょうか。
マニピュレーターは多種多様な音を扱うため、最終的に各楽器(生楽器・シーケンス(マニピュレーターパート)、もちろん歌も)をミックスするPAチームに音を渡す前に自分のところである程度のミックスをし、必要に応じてグループ分けして出力します。
この辺りは以前のエントリー「プレイスタイル」をご参照頂ければと思います。
マニピュレーターがPAエンジニアと誤解されがちなのは、自分の音をまとめるためのミキサーがPAのそれと同じために起こる現象なのではないかと思うのですが、どうなんでしょうね?
■曲間=ライブの流れのマネージメント
ライブの流れを牽引するのも大事な仕事のひとつです。
完全に生演奏の場合を除き、マニピュレーターのシーケンス("同期"と呼ばれることもあります)が稼働する場合は楽曲のテンポをドラマーが聞き、そこから楽曲がスタートする場合がほとんどです。
稀に生演奏が先にあり、そこに同期を合わせていくケースもありますが、基本的にはマニピュレーターがコンダクターの役割りを担います。
ケースにより違いはあるもののシーケンスをスタートさせてから実際にお客さんが音を聴くまでには0〜3秒ほどの時間が掛かるので、MCからの移り変わり・前の曲が終わってからのお客さんの反応・メンバーの準備・その他照明やステージ装置などの状態を的確に把握して「お客さんが実際に耳にする瞬間」が一番気持ちの良いタイミングになるように先読みしていく必要があります。
(例えばMCが終わったと同時に曲を始めたい場合などは、終わる言葉の最後の数秒を逆算してスタートさせなければいけないので、喋りのテンポ感を感じ取る能力が必須!)
ここがカチっと決まることでゆったりリラックスした空間やジェットコースターのようなスリリングな展開などの音のストーリー作りが出来るのです。
自分たちの準備の時間などはリハーサルで把握できますがお客さんの反応はその瞬間にならないとわからないので、ボタンを押して全自動で…ともいかないわけですね。
生演奏・歌が本来の時間軸からずれてしまった…というイレギュラーに対応するのも腕の見せどころです。
サビの繰り返しの回数を間違えてしまった!
盛り上がって本来よりも多く後奏を続けたくなった!等々。
シーケンサーは確実に決まったことをするための機械ですから、決まったサイズの演奏情報を順番に再生していきます。
そこから外れた場合にしっかりと生演奏に付いていくにはマニピュレーターのセンスと腕が問われます。
人によって方法は違うと思いますが、僕は本番用のオーディオ再生専用機とは別にパソコンを裏で走らせ、DJのようにタイミングを合わせてスイッチさせるやり方を取っています。
こんなとき、他のメンバーに「あいつはちゃんと合わせてくれるからこっちはこのまま行く!」と思ってもらえるのも信頼関係あってこそのものです。
(潔くシーケンサーをストップさせて生演奏だけで曲の残りをやりきってもらうという判断をするのもまた、センスであり腕であると思います)
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長々と解説してきましたが、他にも定期的に頂く質問の中に「なぜステージ上にいないの?」というものがあります。
僕の場合は「そこにいる必要性がないから」もしくは「必要とされていないから」です。
例えば長く一緒にお仕事させて頂いているゴスペラーズの場合、最初に声を掛けられたときはバンドメンバーとして一緒にステージ上の空間で、というお話でした。
その時の僕は「4リズム(ドラム・ベース・ギター・キーボード)にDJもいるところにパッと見で何をやっているか分かり難いマニピュレーターはゴスペラーズのステージの画には要らないんじゃないか」と思い、オフステージでのオペレートをお願いしました。
結果、バンドメンバーではあるもののオンステージではない、今の状態になったのです。
「バンドメンバーの紹介で呼ばれませんね」というのも、お客さんの目に触れてパフォーマンスしているオンステージのミュージシャンを紹介するというリーダーの考えなのだと思います。
最終日に呼び込まれるのはオフステージを支えるスタッフを代表してという意味も多分に含まれているのではないでしょうか。
後者の「必要とされていないから」には、その現場ごとのマニピュレーターという職種の内容に対する認識や理解の差によるところが大きい気がします。
楽器を演奏しない、というところでスタッフサイドの技術者という感じでしょうか。
シンセデータ制作の行程がなくなりオーディオ再生が当たり前の現在では渡されたデータを再生する人…みたいに考える人も多いようです(その辺り、ミュージシャンサイドはよく分かってくれていますが)。
パーカッションやキーボードなどを兼任するマニピュレーターは自然とステージに上がりますが、純・マニピュレーターは明確な意図がない限りオフステージに配置されるのが通例のようです。
僕は現場ごとにバンドメンバー扱いだったりスタッフ扱いだったりで、たまに混乱します…(笑)
ちなみにマニピュレーターがオンステージのバンドも沢山ありますよ。
どちらにせよギタリストがギターを奏でるようにマニピュレーターはマニピュレーターの音を奏でているわけで、バンドの音のひとつであることに変わりはありません。
実演していないのでプレイヤーではありませんが、楽曲を組み立てる音楽のパートという意味ではシンガー、ドラマー、ベーシシスト、ギタリスト、もちろんその他のミュージシャンと同列という意識を持って望んでいます。
(余談ではありますが、このポイントをライブの作り手側に関わる人々ががきちんと意識してくれている現場は非常に高いクオリティで仕事が出来、それはそのままお客さんの満足度にも貢献できると思っています)
一緒に曲を仕上げていく段階では積極的にディスカッションに参加し、各ミュージシャン、シンガーと理解を深めていく必要があるため、もしかしたらマニピュレーターに一番必要とされるのはコミュニケーション能力かもしれません。
出来ないことと同じくらい出来ることも多いので「こうしてあげると皆が演奏しやすいかも」という思いやりの心があると尚良し!だと思われます。
本番まではエディット作業など時間を必要とする仕事が多いので、とにかく待たせないこと、次の展開を予想して準備することを常に意識しています。
ここをうまく捌けるマニピュレーターがいる現場だと、特にリハーサルにおいて「今、何待ち?」という小さなストレスがなくなり流れを止めずに全体の良いグルーヴを生み出すことが出来ます。
これは本番にも影響してくるのでとても大切なことです!
日替わりで曲のサイズを変えたり、それによってデータ自体に様々な改変を加えなければいけない場合は前もって用意をするといった"勘"を働かせるのも必要な能力のひとつですね。
仕事内容の特性上、ひとつの現場で同業者と会う機会が他のセクションに比べて圧倒的に少ないマニピュレーター。
今の若い世代の方はどのようなシステムでどのような方法論でやっているのでしょう。
興味があります!
2014年12月25日木曜日
千葉県文化会館 / The Gospellers
ここは搬入場所がステージの背中側なので、本番中に裏動線を通って移動するときに大きな扉が見えて「そうそう、チバブンといえばこれ」となります。
クリスマス前のライブ、お楽しみ頂けましたでしょうか?
2014年12月22日月曜日
ゴスペラーズ坂ツアー2014~2015 "G20"、さいたま市文化センターよりスタート! / The Gospellers
初日のさいたま市文化センターは集まってくださったお客さんの想像を超える熱狂ぶりに気圧されそうになりながらもこちらも爆走、素晴らしいスタートになりました。
これから参加される皆さん、あなたの住む場所へ伺います!
ライブに必要な、大切な最後のピースとなって僕達と素敵なライブを、ツアーを作りましょう!
2014年12月20日土曜日
BABYMETAL「APOCRYPHA - S」 / BABYMETAL
豊洲PITにてBABYMETAL SU-METAL嬢の生誕祭「APOCRYPHA - S」が行われました。
僕のスケジュールの関係で先日のロンドン公演がラストサポート、その後は次の方に引き継ぎ…になる予定でしたが、ありがたいことにリハーサル期間だけでもとお声が掛かり限定参加させて頂きました。
マニピュレーターはその人ごとにシステムや使用ソフトなどが異なる場合があるため、データの引き継ぎに時間が掛かることも少なくありません。
例えば、一冊の小説を日本語で書く人もいれば英語で書く人もいる、みたいな感じです。
同じ言語なら原稿を渡して確認してもらえばよいですが、そうでない場合は翻訳しなければならず準備に時間が必要となります。
こういったことがデータのやりとりでも起こるので大体において一回のライブでは同じ人が通して入るものなのですが、そういった中で敢えて呼んで頂けたのはとても嬉しかったです。
幸いにして"翻訳先"のソフトは長い間使い続けていたDigital Performerだったので、今回はこちらで最初からデータを移植・ゼロから仕込み直してリハーサル後にそのままデータ引き継ぎをすることによってタイムロスを抑えることが出来ました。
ソフトごとの得手不得手や久しぶりに触ったDPのいろんなことを忘れていたのもあって準備は大変でしたが、最後まで責任を持って自分の音を残せたかと思います。
そして引き継ぐのは単純にデータだけではなく、各曲への理解・アプローチなどの感覚的な部分も限られた時間の中でなるべく具体的に受け継いで頂く必要があります。
いつもはライブ中にリアルタイムに行っていることもプレイスタイルの違う先方の負担にならないように自分シミュレートをデータに施して渡したので、僕の「いつも通り、最高のパフォーマンスを」イズムは今後も残っていってもらえるんじゃないでしょうか。
(紅月、最近多かったピアノ前奏からのUnfinished Versionスタートを予感させておいての通常バージョンイントロの引っ掛けも、お客さんの気持ちになってスタート間隔をコンマ秒単位で調性してみました。うまく行ったかな?)
そもそも神バンドはその都度ステージ上に器楽隊がキツネ様によって召喚されるわけで、「生演奏以外の楽器担当」であるマニピュレーターも毎回召喚されると考えれば、今までがたまたま僕が多かったということだけのお話ですね。
現に過去何回かは他の方が入っておりますし。
次いつ会えるのかは彼女たちの言葉を借りればこうです。
"Only the Fox God knows !!"
伝え聞いたところによれば素敵なステージになった様子、ほっとひと安心です。
そして改めて、SU-METALさんお誕生日おめでとうございました!
今年は磔に…ならなかったよね?(笑)
2014年12月18日木曜日
「Sparkle」 / N.A.O.
2014年12月2日火曜日
イメージ
プロデュースものの2アーティストも一段落。
あとはリリースを待つばかりです。
平行してライブサポートも始まって慌ただしかったけど今日は久しぶりにゆっくりできた…と言っても曲書き締め切り日に向けてイメージ作りしてます。
自分が軸になるのも誰かのサポートに回るのも、それぞれチャンネルがあって相互に影響しあうので楽しいです。
必要とされるというのは、それだけで幸せなこと。
自分に出来うる限りのことをしたいと常に心がけてます。